憲法Caffè

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スタッフブログ

「安保3文書」

昨年12月16日、安保3文書が閣議決定された。防衛費を増額して、反撃能力(敵基地攻撃能力)を保持するというのだ。
しかし、「敵国(中国が想定されているそうだ)」からすればどうだろう。自分の国の基地や国家中枢に届く巡航ミサイル・トマホークが日本に配備されるとすると、これまた、「敵国」側でも対策をとることになるだろう。緊張は激化するばかりだ。
しかも、防衛費を二倍化すれば、増税、他の予算(社会保障費、医療費など)を削ることになる。
そんなことはやめといたがいいと思うのだが。

弁護士 髙木太郎

核兵器禁止条約発効2年

2023年1月22日核兵器禁止条約発効から2年になります。
新年を迎えてすぐ、ジブチ共和国が条約に署名(調印)し、署名国は92カ国になりました。批准国は現在68カ国です。
あと5カ国が署名すると、国連加盟国の過半数になります。

世界の圧倒的多数の国が、核兵器は絶対悪であると断定し、核兵器廃絶に同意しているのです。
小さな小さな国々かも知れませんが、例え小さくても独立した国家です。

それに比べ、世界の核保有国は9カ国です。
(アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮)
中でも核兵器の9割は、アメリカとロシアが保有する物です。

世界は非核の大きな流れになっています。

戦争被爆国の日本が、その流れの先頭に立っていないどころか、日本の報道は軍拡、軍事費増大、台湾有事、北朝鮮が・・と
禍々しいことばで、私たちに「戦争に備えなくてはいけないという恐怖」をすり込もうとしているように思えてなりません。
私にはそう見えます。

核兵器禁止条約締約国が放つ希望の光が、地球の隅々に降り注ぐ。
世界の流れをきちんと捉えないと、自国を守るどころか崩壊させる危機を招いている。それが今の日本政府の姿勢だと思います。

(事務局 松田)

『旧統一教会被害者救済法案』

被害者救済法案可決

旧統一教会被害者救済法案の審議が行われている。ざる法だと批判していた立憲民主も一定程度規制が行われるとして賛成に回るようだ。共産党らは、これではまだ救済が不十分として更なる改善を求めている。被害対策弁護団は悩むところだろう。役に立たないと言う批判をし続けると、この内容で法律が成立した場合、裁判に不利になる可能性があるからだ。私たち弁護士は法律ができたら終わりではなく、次はそれを活用すること、結果として不十分なら次の法改正を求めることまで視野に入れて、活動することになる。
(弁護士 髙木太郎)

「労働協約と地域的拡張適用(新版)~理論と実践の架橋~」

古川景一弁護士と川口美貴関西大学教授が「労働協約と地域的拡張適用(新版)」を上梓された。

お2人は、大変な苦労の末、2011年に上記書籍の旧版を上梓されたが、その後、この書籍も一つの力となり、2021年に茨城県内の大型家電量販店における年間所定休日数に関する労働協約の地域的拡張適用の決定が出された。
これを受けて、さらにお2人は、旧版に大改訂を加えて、今回新版を上梓されたとのことである。
古川先生によれば、旧版を発刊した後寄せられた情報により、日本の労働組合の組織率は16.9%に過ぎないが、これは平均値であり、職種や地域によっては、それが70%に達するところもあることが判った、拡張適用の可能性は十分ある、とのことである。
お2人の活動は、まさに、理論と実践の架橋を体現している。

私たちも、労働者の権利の実現のため、せっかく獲得した労働協約の地域的拡張の制度を、活かしていかなければならない。

(弁護士 髙木太郎)

『新版 労働協約と地域的拡張適用―理論と実践の架橋』

「死者にむち打つ『国葬』提案」

国葬反対です。
反対の理由を述べようとすると、当然、あべ政治の批判を展開しなければなりません。

あべ政治は民主主義にとって、最低でした。
安倍氏が選挙に勝って7年8ヶ月余りの第2次長期政権を続けてきた理由の中心は、おそらく経済でしょうが、
それも、アベノミクスで
① ジャブジャブの「異次元」の金融緩和(円安誘導、0金利政策)、
② 国を借金漬けにする「迅速な財政出動」(民主党政権時代は、国債発行を制限して財政バランスを
 取ろうとしたので経済政策に足かせがあったが、安倍氏は財務省を押さえ込んで、国を借金漬けにした)、
 という2つの禁じ手を、ろくな将来展望もないまま使い、
③ 肝心のまともな「成長戦略」を何一つ打ち出せなかった(逆に、労働者の賃金を下げる「非正規雇用の拡大」を
 「日本が世界で一番企業の活動しやすい国にする」というスローガンの下で実施し、国内需要を冷え込ませた)

今、日本経済は、出口戦略もなく実施された①②の後遺症で苦しんでいます。
コロナやウクライナ戦争のせいに出来ない、他国にない、非常事態です。

ある意味、安倍氏は、史上最低の亡国の総理です。
このような人を国葬にするなどありえない。
(もちろん、「国葬」そのものの問題も大きいけど)
ということを、バンバン、言わざるを得ない、と思っています。

こういう議論になることは、当然、予想できたはずなのに、
それでも、国葬を打ち出した、岸田総理は、
「死者にむち打って政治利用する人」なのだ、と思います。

(弁護士 髙木太郎)

 

「戦争とは」、そして「戦争に抵抗するには」

ナチス・ドイツがユダヤ人大虐殺を行ったことに対し、
ハンナ・アーレントは「世界最大の悪は、ごく平凡な人間が行う悪です。
そんな人には動機もなく、信念も邪心も悪魔的な意図もない。
人間であることを拒絶した者なのです。」
ハンナ・アーレントは「悪の凡庸さ」と名付けました。

デイブ・デリンジャーは「From Yale to Jail」の中で、
ベトナム戦争で捕虜訊問係であったピーター・マーチンセンの証言を引用しています。

「われわれ訊問係の全員が、実際の拷問に加わっていたのです。
みなさん、おわかりでしょうが、誰であれすべて拷問に加わるのですから、
-彼らは、ごくふつうの人間にすぎないのだと思います
-とすれば、それなりの状況が与えられれば、
人間には自分と同じ仲間の人間に対して危害を加えるという能力が、
本来的に備わっているのだということになるのです。
そして、それなりの状況というものを、ベトナム戦争は与え続けているのです。
みなさんが、同じ仲間の人間を殴りつけるという、こうした訊問をやることなど、
考えただけでも恐ろしいことですが、
はじめのうちは、望むような結果を得るために、殴りつけるのです。
しかし、次には、みなさんは、怒りから彼を殴るようになります。
そして、次には、喜びから彼を殴るようになります。」

何度も投獄されながらも、市民的非暴力抵抗の活動を続けてきた
デイブ・デリンジャーは、なぜ、続けられるのか問われ続け、
その理由をこう述べています。
「人を痛めつけることに「喜び」を見出すような病いに、
「ごくふつうの人間」が冒されているのを見たくないからなのだ。
この国(アメリカ)の社会の中にある、ある種の制度、すなわち、
監獄、死刑、戦争という機構のなかから、そこで行われている殴打や
拷問、殺害に、ときに人びとは指示や喝采を送り、あるいは加わりさえする。
そのとき、私は、そこに病いがあるのを目にする。
しかしまた、人びとは、個人的成功の追求、勝者と敗者、
覇者と犠牲者とを生み出す競争のなかでも、同じ仲間の人間を打ちひしいで、
喜びを見出している。
・・・・・私たち自身のなかと、この社会のなかにある、あの病いを癒すために、
額に汗して力を尽くし、しかもその目指すものを共に心に抱きながら、
イデオロギーや行動での不毛な画一を求めることなき人びとの「最愛の共同の場」で働くこと、
そのこと以上に心を満たしてくれるものはあり得ない、ということだ。」

欧米、アジア、ロシアが軍拡競争を始めています。
私たちは、ハンナ・アーレントの言う「悪の凡庸さ」、
デイブ・デリンジャーの言う「病い」に冒されないようにするために、
事実を見極め、何が起きようとしているのか、考え続けなければならないのだと思います。

(弁護士 伊須慎一郎)

「投票に行こう」

7月10日は参議院選挙だ。

自公政権と維新は、9条の改憲に前向き。
自公政権と維新、国民民主は軍事費増額(2倍化)に前向き。財源は国債=国の借金?。
日本には世界有数の軍事組織=自衛隊があり、安保条約もある。すでに十分ではないの?
必要以上に軍備を拡張すると、よけいに世界情勢を不安定化させるよ。

他方で、物価高対策は、消費税減額などには応じない(具体的に何をやるんだろう?)。
最大の安全保障であるはずの食糧自給率アップや、再生可能エネルギー充実によるエネルギー自給率向上には後ろ向き。
自民党では、その中枢の人たちが、LGBT差別冊子を配布。人権感覚を疑う。

憲法の理念(平和、自由、人権)と国民生活の安定を護ろうとしたら、何をやるべきかは明確。

投票に行こう。期日前投票も始まっている。

ウクライナ侵略と日本の核共有

ウクライナ侵略をめぐって、プーチンは、核兵器の使用をほのめかし、また、実際に、核兵器を使用するかもしれないと言われています。

これを受けて、アメリカの核兵器を日本も「共有」すべきだ、などという議論が出ているようです。

しかし、プーチンのウクライナ侵略や核の脅し発言から、まず、考えるべきことは、「核兵器の危険性」「プーチンのような(半)独裁政権に核兵器をもたせてはいけない」ということではないでしょうか。
唯一の被爆国である日本までが、核兵器を「共有」するなどということになれば、北朝鮮の核武装をどういう理由で批判するのでしょうか?核兵器の禁止・全廃どころか、核兵器の非保有国(それも独裁、半独裁の国)への拡散を防ぐことさえできなくなってしまうのではないでしょうか。

夢のような話かもしれませんが、侵略や核兵器の脅しを行ったプーチンロシアを徹底的に批判し追い詰め、ロシアに核兵器を全部放棄させるところまで持っていけないか、と思うのです。
そして、その後のロシアには、ナチスを生んだドイツのようにではなく、平和憲法をもった日本のように歩んでもらえないか、と思うのです。

(弁護士 髙木太郎)

ウクライナ侵略と日本の敵基地攻撃能力

ロシアのウクライナ侵略を受けて、日本は敵基地攻撃能力(「反撃能力」と言い換えているようですが)を持つべきだ、という意見がさらに強く主張されるようになりました。
しかし、敵基地攻撃が何を招くか、を考えた方がいいと思います。
ウクライナ戦争で、ウクライナが「敵基地攻撃能力」を持っていて、先に、ロシアのミサイル基地を攻撃したら、国際世論はどう動いたでしょうか? ロシアの代わりにウクライナを批判するか、あるいは、両国で勝手に戦争やってくれ、という事態になったのではないでしょうか?
また、敵基地攻撃能力では、敵の中枢(首都)を叩くことも検討されているようです。ウクライナのミサイルがモスクワを直撃したら、国際世論はどう動くでしょう。
相手の領域に攻め込んだり、攻撃を仕掛けたりすると、国際世論は味方に付かない、こちらが悪者になる、ということです。
こう考えると、戦争は始まってしまうと、今回のような被害は避けがたい、戦争が起こるのを防ぐために全力を尽くすしかない、と痛感するのです。
(弁護士 髙木太郎)