生活保護基準引き下げ反対!

 生活保護は,健康で文化的な最低限度の生活を保障する憲法25条の具体化の一つですが,平成25年8月1日,生活保護基準の引き下げが行われました。この引き下げによって,生活保護世帯の約96%,200万人以上の生活保護利用者の受給額が減少しました。たとえば,さいたま市在住の30代夫婦と小学生の3人世帯では,月額約5500円の減少となりました。

今後も,平成26年4月,平成27年4月に同様の引き下げが予定されています。この引き下げによって,生活保護費が平均6.5%,最大10%引き下げられる予定です。

生活保護基準は,他の低所得者層向けの施策と法律上または運用上連動しています。たとえば,地方税の非課税基準,国民健康保険の保険料・一部負担金の減免基準,介護保険の保険料・利用料の減額基準,障害者自立支援法による利用料の減額基準,就学援助の給付対象基準,最低賃金(生活保護に係る施策との整合性に配慮するとされている)などと連動しています。そのため,今後,生活保護基準引き下げにより,世帯の状況に変化がないにもかかわらず,突然,税負担を求められる世帯や減免措置が受けられなくなる世帯が出るおそれもあります。

今回の引き下げは,憲法25条の趣旨を無視するものであり,生活保護世帯だけでなく,市民生活のいろんな場面に影響を及ぼすのです。決して他人事ではありません。

今回の生活保護基準の引き下げに反対する運動として,まず,平成25年8月上旬に21都道府県で「生活保護基準引き下げにNO!全国一斉ホットライン」を実施しました。埼玉県でも,2日間で100件を超える相談がありました。相談内容としては,たとえば,保護基準が引き下げられると苦しい生活が一層苦しくなる,食費を削るしかなくなり生きていけるのか心配というものがありました。また,保護基準が引き下げられたことによって,子どもの洋服や靴を買い替えることができなくなり,ますます子どもに我慢させることになってかわいそうだ,という声もありました。

そして,今回の生活保護基準の引き下げに対する不服申立てとして,9月に全国一斉で審査請求を申し立てました。現在まで,全国で合計1万世帯以上,埼玉県でも351世帯が申し立てました。

審査請求は棄却される可能性が高いですが,今後も,取消訴訟に向けて,厚労省の基準引き下げの根拠について検討していきます。                                                       (古城英俊)

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