名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯 「約 束」

名張毒ぶどう酒事件の映画「約束」

5月18日、深谷シネマで、名張毒ぶどう酒事件の映画「約束」をみてきました。
深谷シネマは、埼玉県深谷市・旧中山道沿いにある、 300年の歴史 を持つ「七ツ梅酒造」跡地にある街の映画館です。敷地内に特産品を売っていたり、喫茶店があったり、ちょっとおもしろいところです。
さて、「約束」。
名張毒ぶどう酒事件は、昭和36年、三重県名張市の小さな部落の懇親会で、ぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡した事件です。殺人犯として逮捕された奥西さんは部落の構成員。奥西さんの奥さんと、不倫中だったとされる女性も亡くなっています。警察の筋は、奥西さんによる不倫関係の清算。奥西さんは、一旦「自白」しますが、裁判では、「警察に自白を強制された」と訴え、無実を主張。1審は無罪だったものの、2審は逆転死刑判決。そして昭和47年、最高裁で死刑が確定しました。奥西さんは、死刑執行の恐怖と闘いながら、いまも再審を求め続けています。
最初は、独房場面が繰り返し出てきて、少し退屈(失礼!!)だったのですが、話が進むにつれて、引き込まれていきました。
死刑囚の奥西さんが自分自身で再審請求を続けていたこと、国民救援会の川村富左吉さんが奥西さんを訪ねていき奥西さんの支援活動が始まったこと、弁護団が結成され、奥西さんが歯で開けたとされるぶどう酒の王冠を再現したり、毒物の鑑定を行ったり・・・。自白内容が客観的事実と食い違っている点がいくつも明らかになっていきます。
事件から44年後の平成17年4月、名古屋高裁は奥西の再審開始を決定しました。しかし、この決定は、翌年、名古屋高裁の別の部によって取り消されました。最高裁は、毒物についての事実関係を明らかにするように、事件を名古屋高裁に差し戻すのですが・・・。
仲代達也演じる奥西、樹木希林演じる奥西の母、見どころ満載です。
6月にも、深谷シネマで上映日が予定されているようです。その他、各地の映画館で情勢が予定されていますので、スケジュールを確認して、見に行ってください。
(弁護士 高木太郎)

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