「憲法の大切さ」

以前,国際法の権威ある先生の講演へ行った時,その先生は,国際人権規約で保護されている人権は,歴史的に酷く侵害されてきた権利ばかりであり,その凄惨な悲劇を繰り返さないために規定を設け保護されたものである,とおっしゃっていました。

日本国憲法もそうだと思います。

第二次世界大戦以前の日本では,国家主導の下,日本国憲法では明文で保障されている権利がひどく侵害されていました。

第二次世界大戦でも多くの人々が,強制的に徴兵され,多くの戦死者が出るなど,多くの人の,様々な人権が侵害されていました。

このような悲劇を繰り返さないためにも日本国憲法が作られたのだと,私は思います。

日本国憲法で明文化されている権利は,人間にとって大切だからというだけでなく,そんな権利であるにもかかわらず,それまでひどい侵害をされてきたために,明文で保障するようになったのだと思います。

日本国憲法の条文を読んでいると過去の悲劇が頭に浮かんでくるような気がします。

 

憲法が大切なのは,すべての法の頂点である,とか,国家の根幹となる事項を定めたもの,ということだけにとどまらないと思います。

多くの犠牲を出した悲劇を繰り返さないための法であるからこそ大切なのだと,私は思います。

(弁護士 鈴木満)

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