戦場ジャーナリスト志葉玲さんの講演を聴いて(リレーメッセージ)

2月18日のことになりますが、事務所勉強会で聴いた志葉玲さん(戦場IMG_0545ジャーナリスト)の話は、本当にリアルでした。
なかでも、「米軍の活動がISを産んだ」という話。
米軍は、「治安維持のために」、イラクに展開していました。
市内で爆弾テロなどがあると、「治安維持のために」、周辺を捜索するのですが、外国部隊ですから、誰がテロリストか判りません。
そのため、少年から老人まで男とみれば(最近は女も危険です・・・)、片っ端から捕まえて、収容所に連れて行き、縛り上げて、「治安維持のために」、拷問もして自白を迫ります。
捜索をした家屋では、ドアをたたき壊し、家具をひっくり返し、ソファーは切り裂き(たまには財産を盗んで)、という内容だそうで、現地の人には極めて評判が悪いのです。皆さんだったら、外国軍にこんなことをされたらどうでしょIMG_0579う。許せますか?
無実の市民は、当然、アメリカだけは許せない、となるのだそうです。
少なくともISの幹部は、もとは穏健派であった人も米軍のこの仕打ちにあって、「アメリカ許すまじ、目には目を、歯には歯を」ということで、過激派ISになったということでした。
志葉玲さん自身も、取材中に、この米軍の捜索に遭い、通訳とともに拘束され、収容所に入れられたそうです。志葉さんはぐるぐる縛りで済んだそうですが、通訳の方は、イラク人だったために疑われて、海老反り縛りの上、尋問もされたそうです。

他方、志葉さんは、米兵の捜査の仕方も、その立場におかれれば判らないではない、と言います。
志葉さんは、米軍に伴って捜査の取材をしたこともあるそうですが、捜査する側からすれば、誰がテロリストかわからないので、見つけたら、直ちに制圧して、地面に押さえつけ、縛り上げて抵抗できないようにして、爆弾が隠されていないか、徹底的に調べる。しかも、爆発させられないように短時間で。財産を盗むのは論外ですが、それ以外は、そうしないと、自分や仲間の命が危ないのですから、そういう職務を命じられた米兵としては、やむを得ない措置なのだ、というのです。IMG_0552

外国の軍隊が他国に入り、その国の治安を維持することの難しさ、を痛感します。現地の治安を維持するというプラスより、むしろ、害悪の方が大きすぎるように思います。
米軍がそれをやることも止めるべきだと思います。ましてや、日本の自衛隊がそれに加わるなどと言うことは、絶対に避けなければならないと思いました。

(弁護士 高木 太郎)               講演会で挨拶をする高木弁護士

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