入所して間もないころ、同期と2人、新人事務局を対象とする「憲法」の講義があった。
講師は、首が痛くなるほど見上げなければならないほど長身で、しかも東南アジア出身者にしか見えない。一見すれば決して忘れない容姿の弁護士だった。
その圧倒されそうな風貌とは異なり、私と同期の事務局2人を相手に、とても優しい口調で話された。
「まず、憲法の前文は読んだことがありますか」と聞かれ、「私は憲法の前文が、全ての条文の中で一番好きだ。これを読むと感動で、胸が熱くなる」と語られた。
戦後69年に亘り、日本国民は全力をあげて、前文に書かれた崇高な理想と目的を達成するために、努力してきたのではないのか。
長い年月をかけて積み上げてきた平和国家が、積木のように、一気に崩されようとしている。
憲法解釈を変更し、集団的自衛権行使を可能にしようとしている。
この動きを止めたい。まず自分にできること、できそうなことから始めてみる。
さしあたり家族に話す。友人に話す。知人に話す。近所の立ち話(これが少なくなっている)で、さりげなく話題にする。
ビラを受け取る。署名する。
デモや集会に参加する。
ビラまきに参加して、広く一般に訴える。
何となくできそうである。
8月は広島、長﨑に原爆が投下され、終戦を迎えた月である。
そして、一見すれば忘れられない容姿の先生が亡くなられた月でもある。
ともに平和を祈りたい。
合掌
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