双葉町のばら園を知っていますか

あれから9年の月日が経ちました。
そして2020年3月14日に常磐線が全線開通し,双葉駅も再開しました。
それに伴って,帰還困難区域が一部解除されましたが,これが復興の足がかりとなるのか,個人的には甚だ疑問に感じています。
震災前の双葉町の名所は,原発と「ばら園」でした。
高度成長時代に園芸の素人だった岡田勝秀さんがつくった「ばら園」は,年間5万人もの人々が訪れるほどの観光地になっていました。
それが一瞬にして原発事故により放射能を浴び,廃園と化してしまったのです。
岡田さんは東京電力と裁判中とのことですが,訴訟において,心血を注いで育てたバラ,風景式庭園を構成する桜やヒマラヤスギは立木と認定されたのだそうです。
人間が手塩にかけ心血を注いで育てた植物は,私たち人間と同じ「生きもの」です。ただ生きているのではありません。愛情に応え,自然の風景とも協調し,ひとつの世界をつくってきました。
ただの立木としか認識できない国と東電。
東京オリンピックの今年,どうしても原発事故があった福島の復興を演出したいのでしょう。人が住めない双葉町
この夏に,美しい海岸線を見ながら原ノ町駅まで行った,同じ常磐線に乗って,変貌した海岸の風景を見るつもりです。
事務局 長沢

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