民意が試されている

環太平洋連携協定(TPP)は、12月9日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決し、承認された。もちろん賛成票を投じた与党など国会議員の方々は、英語で書かれた6000頁に及ぶTPP協定書を読破し、理解した上での行動であろう。

ところが米国の次期大統領トランプ氏が、就任直後にTPP脱退を表明すると明言しており、発効の可能性は消滅したともいえる。

安倍首相はトランプ氏に、米国がTPP脱退することを撤回するよう説得するつもりのようだ。その自信があるのなら、それ以前に、普天間基地の海兵隊は沖縄から撤退し、グアムへ移転しろと言うべきではないか。普天間に限らない。沖縄に米軍基地は要らない。日本は米国の属国ではない。

トランプ氏はTPPで国内の産業が不利益をこうむるとして、代わりに二国間交渉に軸足を移す考えを示している。NAFTAを解消し、日本とはFTA締結を考えているという。2国間交渉になれば、多国間交渉よりさらに難しい条件を突きつけられ、日本に対し、さらなる譲歩をさせ、農業に限らず、国民皆保険、国民皆年金制度の崩壊すら招きかねない。

たいした議論もなくTPPを国会で可決させたつけが、どれほど大きくなって回ってくるのか。沖縄県民はもとより、多くの国民の苦しみ、生活の現状を理解せず、安心して暮らせる未来も守れない。そんな程度の国会議員に1票を投じたのは、私たち有権者である。

この状況に甘んじ、怒りの声も挙げようとはしない。怒りすら感じないのかもしれない。

民意が試されている。

この記事を書いた人

目次