世の中を変えることはできる(リレーメッセージ)

今は電車、飛行機は禁煙が当たり前になっていますが、私が生まれた頃は、中・長距離列車に一両も禁煙車両はありませんでした。
1970年代に、たばこの害や受動喫煙の害が認識され、非喫煙者のグループが旧国鉄に対して禁煙車両の設置を要求しました。しかし、旧国鉄側の反応が鈍かったため、1980年、旧国鉄を利用する市民が原告となって、旧国鉄を被告として、国鉄の全旅客列車の半数以上を禁煙車にすることなどを請求する訴訟を提起しました。裁判所は原告の請求を棄却しましたが、訴訟係属中に、旧国鉄側は、これまでほとんど設置してこなかった禁煙車両を新設・増設し、また、禁煙タイムを設けるなどして、喫煙対策を進めました。裁判では負けましたが、訴訟を提起したことにより、世の中を変えることができ、現在に至るのです。
個人の尊重という憲法の価値を実現し、世の中を少しでもよくするため、弁護士としてできることに取り組んでいきたいと思います。

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(弁護士 古城英俊)

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