「個」人の尊重

去る7月11日、伊藤塾(司法試験予備校)の塾長である伊藤真先生の講演会が催された。
最近の憲法改正動向、選挙権の価値の不平等、社会保障と税の一体改革、秘密保全法、マイナンバー制、大震災における憲法上の諸問題などについて熱く語られた。

伊藤先生の話の中で一番印象に残っているのは、現在の憲法13条の「すべて国民は、個人として尊重される」との文言が、自民党による憲法改正草案では、「人として尊重される」となっており、「個」という文言が削除されている、という指摘だった。

そこで思い出したのが、先日行った日光で、修学旅行と思われる小学生が皆、同じ帽子をかぶっているのを目撃したことだ。私が小学生の頃は、それぞれが好きな帽子をかぶっていたと思うのだが。
このことから直ちに、教育の現場でも「個」の主張を抑え込もうとしていると考えるのは考えすぎだろうか。

しかし、憲法の文言から「個」をあえて削除しようとしている意味はどこにあるのか、「個人の尊重」を最高の価値としている憲法を知った法律家としてしっかり考えなければならないと感じた。

(弁護士 古城英俊)

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