戦争マシーンを止めろ-「ヒトラーへの285枚の葉書」

観たいと思っていた映画を見ました。
「ヒトラーへの285枚の葉書」です。

ナチス政権下のドイツ・ベルリンで暮らしている夫婦が、最愛の一人息子
を戦争で失ったことをきっかけに、ヒトラーは嘘つきだなど、285枚の
葉書を街中にこっそり置き残すという危険な行動を始めます。冷え切った
夫婦仲が、密かに真実を訴え続けることにより、ナチスに抑圧された多く
のドイツ国民と異なり、自由を手に入れ、信頼関係を取り戻していきます。
しかし、1943年、夫が職場で葉書を落としてしまったことをきっかけ
に逮捕されてしまいます。夫は妻も連行されたことを知り、285枚の葉
書を街に置いたことを認めますが、結局、夫婦共に死刑となり、ギロチン
で処刑されます。
その中で、職人である夫は異論を許さない全体主義の中、戦争に邁進する
ドイツを戦争マシーンになぞらえて、ひとりひとりは砂粒のようなものだ
が、多くの人が真実を知り、まとまった砂として戦争マシーンに飛び込め
ば、戦争マシーンは動かなくなると訴えます。

異論を許さず、弱い者を叩きつぶす今の日本社会にもつながるところがあ
るのではないでしょうか。
おかしいことには、おかしいと異論を述べることができる社会、1人1人
の個性を認め、戦争マシーンの歯車にされることに抗うことができる社会
を続けるためにも、何が事実か見極めて、おかしいことには、おかしいと
言い続けることが大事だとつくづく考えさせられました。

弁護士 伊須慎一郎

 

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