狼は来るのか?

1970年代後半から80年代前半にかけて、日本ではソ連脅威論の高まりとあわせて1985年軍事危機説がまことしやかに喧伝されていました。アメリカを凌駕する程に軍事力を増強したソ連はアフガン・ポーランドの次に日本を狙ってくる、北海道に侵攻し、第3次世界大戦が勃発する、北海道を防衛せよ、といった類いの書籍が書店では平積みになり、大げさに言えば国家累卵の危機の様相を呈していました。現実主義を称する者からは平和憲法は時代遅れ・非現実的と罵られました。

さて、あれから30年以上経過した今、振り返ってみると現実はどうだったでしょうか。北海道侵攻も第3次世界大戦もなかったばかりか、ほどなくして冷戦は終結し、ソ連は消滅しました。1985年軍事危機説が幻だったことは明白でした。

翻って昨今の北朝鮮脅威論を見るにつけ、かつてのソ連脅威論をまがりなりにも知っている者にとっては実在しない狼の存在を振りまき、あたかも狼が襲ってくるかのような危機を演出しているように思えてなりません。もちろん危機が全くないわけではありませんが、錯綜する情報に惑わされることなく、何が事実で何が事実でないか冷静に見極める目を養っていきたいと思います。

事務局 A・K

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