「年金積立金が消えてなくなる?!」(リレーメッセージ)

 安倍政権の人気は株価頼みである。実際に経済はよくなっていないのに、株価が高いだけの理由で、アベノミクスはうまくいっているという雰囲気づくりがされている。
 では実態経済はよくないのに株価はなぜ高いのか。その一つの理由が、国民の年金積立金を大量に株購入に充てているからだ。従来、年金積立金は6割を安定的な国内債券で運用し、株式購入に充てられる割合は、日本株・外国株とも12%に過ぎなかった。2014年11月、安倍政権はこれを各25%株式に投入できるようにしたのである。
 株式を買う資金が増えれば株価は上がる。これにより、経済の実質はよくないにもかかわらず、株価は高止まりしてきた。
 しかし、株はギャンブルである。実際、昨年7~9月期には、株価の下落による運用損が10兆円近くにも及んでいるとの報道がされていた。積立金全体の額が130~140兆円程度であるから大きな損失である。年初の連続下落により、さらに損失は拡大しているだろう。
 株は儲かることもあるが、損する危険も高い。だから、国民の大切な財産、預り金である年金積立金は、株ではなく比較的安定した国内債権で運用することとされていたのである。一旦株式市場に投入した資金を引き揚げようとすると、株価全体の暴落につながりかねないので、もう後戻りも難しくなってしまっている。例えば株価が半値になれば、上記の計算でいれば、30兆円以上の損失を受けることになる。年金の支給水準がさらに引き下げられることにつながる。
 安全保障、立憲主義だけでなく、経済でも、日本を破たんに導くアベ政治を許さない。
(弁護士 髙木太郎)

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