憲法Caffè

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埼玉総合法律事務所
21日

「憲法と外国人」

憲法で明記されている権利のすべてが日本国民同様に外国人にも保障されているというわけではありません。
判例でも、「権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き」外国人にもその保障は及ぶとされています。
外国人に保障されていない権利として有名なのは選挙権です。
この外国人に選挙権が保障されていないという事実は、日本社会における外国人の生きづらさの根本的な原因の一つです。

ここでいう「外国人」とは「日本国籍を持たない人」です。
在日朝鮮人のように日本で生まれ育ち、日本で働き、税金をどれだけ納めても、「日本国籍がない」ということだけで、日本人と同じ権利が保障されないのです。
では、「帰化すればいいじゃないか」と思う人もいるかと思いますが、帰化するにも条件があります。
「国籍」とは「アイデンティティ」に近いものがあり、「国籍を変える」ということに抵抗を感じる人もいます。

先ほどの判例は今より約40年も前の判決です。
当時は、日本に住む外国人は多くなく、そのような判断をしても大きな影響はなかったのかもしれません。
現在の日本の外国人移住者数の多さは経済協力開発機構(OECD)に加盟している35か国の中でドイツ、アメリカ、イギリスに次ぎ4番目です。
そして、これからますます外国人が入ってきます。

このように社会は変化したにもかかわらず、約40年も前の考え方を引きずっていてよいのでしょうか。
(弁護士 鈴木満)