憲法Caffè

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埼玉総合法律事務所
22日

第1回総選挙

今年の7月に予定されている参議院選挙は、
衆議院とのダブル選挙になるのではないかと言われていますが、
日本ではじめての総選挙はどんなものだったのかを知りたくて
『総選挙はこのようにして始まった~第一回衆議院議員選挙の真実』
(稲田雅洋・有志舎)を手にとってみました。

日本初の衆議院議員選挙は
1890(明治23)年7月1日、沖縄と北海道を除く45府県で実施されました。
選挙権を有するのは満25歳以上の男子で、直接国税(地租と所得税)を1年以上、15円以上納めている者、
被選挙権を有するのは満30歳以上の男子で、やはり直接国税を1年以上、15円以上納めている者。
この選挙権、被選挙権の資格から、当時の衆議院議員=ほとんど地主、と私は学生時代に教わりました。

ところが、第1回総選挙で当選した衆議院議員の中には、
中江兆民、植木枝盛、尾崎行雄といった資産をほとんど持っていないはずの士族や平民など、
年間15円も国税を納めていたとは思えない者が一定数いる、
ということでこの謎を追究したのが、この本です。

謎解きの結論を明かしてしまうと、
候補者の支持者たちが、支持者名義の土地を候補者名義に書き換えていた事例が複数あることが分かったのだそうです。
そうすることで、候補者の納めた(とされる)地租を15円以上にして、候補者資格を与えようと。

信頼する候補者を国政に送るために、
自分たちの土地の名義を手放した人々が相当数いた。
民主主義ってこうやって育ってきたものなんだな~、と
衝撃を受け、また、感動しました。

詳細については、ぜひ皆さんもこの本を読んでみてください。

(弁護士 佐渡島)