憲法Caffè

埼玉総合法律事務所の所員が、憲法に関わる催しや学習会のお知らせ、感想、考えていることなどを、随時アップします!

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埼玉総合法律事務所
01月

1月17日

今年の1月17日で阪神淡路大震災から24年が経ちました。
私は生まれも育ちも埼玉なので、被害はありませんでしたが、当時受験勉強をしていたので、この震災で進学できなくなった子供がたくさんいるのだろうな、と何不自由なく暮らしている自分がどれほど幸せなのか、感謝し反省したことを思い出します。
その後も災害がいくつも起こりました。幸い私は被災したことはないのですが、災害により人生が変わってしまった方も多いと思います。
改めて、今の幸せに感謝し、みんなが幸せに暮らせるよう、困っている人を放っておかない優しい社会になってほしいと思いました。
(事務局 S)

公然と嘘をつく人たち

現職自衛官が、秘密漏えいの嫌疑をかけられたえん罪事件を担当してい
ます。

2014年12月に河野統合幕僚長が米軍高官と密談をした内容を記載
した議事録が、2015年9月2日の参議院の委員会で公表されました。
内容は、未だ集団的自衛権の行使を認める自衛隊法等の改正案すら国会
に提出されていない段階で、憲法に基づくシビリアンコントール下にい
るはずの自衛隊のトップが、米軍高官に2015年夏までに憲法9条違
反の自衛隊法等の改正を約束したり、国内の基地へのオスプレイ配置に
反対しているのは一部の活動家のみであると、国民・市民を敵視するも
のでした。

委員会で議事録を公表されてから約10日の間に、安倍首相、中谷防衛
大臣、河野統合幕僚長は委員会で指摘された議事録の存在を否定しまし
た。

ところが、政府、防衛省、自衛隊のトップが口を合わせて存在しないと
説明した議事録を漏えいしたとして、現職自衛官が取調べやポリグラフ
検査を受けたり、無関係の実家まで捜索・差し押さえされた事件が発生
しました。

普通に考えると、「議事録」が存在しない以上、「秘密」も存在しない
ことになり、「秘密」が存在しなければ、「秘密の漏えい」も存在しな
いことになるので、何人にも秘密漏えいの疑いをかけることはできませ
ん。ところが、自衛隊内で、犯人探しが始まっていたのです。

この間、民事訴訟手続の中で、自衛隊内では、議事録が委員会で公表さ
れた翌日9月3日には、安倍首相、中谷防衛大臣、河野統合幕僚長が口
裏を合わせて存在しないと説明した防衛省内の「議事録」と委員会で公
表された「議事録」を照らし合わせて同一の文書の可能性が高いと判断
されたうえで、情報漏えいの捜査が行われていることがわかりました。

では、なぜ、安倍首相、中谷防衛大臣、河野統合幕僚長は、口を合わせ
て、防衛省内に厳然として存在する「議事録」が存在しないと、うその
説明をしたのでしょうか。

答えは簡単です。

この議事録の中には、政府が国民の意見などまったく考えていないこと、
憲法とシビリアンコントロールの下にいるはずの自衛隊のトップがオス
プレイの配置に反対する市民のことを不安を煽る活動家だと敵視してい
ること、自衛隊のトップが多くの沖縄県民が反対する辺野古新基地移転
につき、安倍首相が強力に推進するので方針に変更はないと伝えている
ように、国民に知られたくない安倍首相や自衛隊のトップの本心が克明
に記載されているからです。

国民主権の下、私たち国民が政治家の本心を知ることは、今後、彼らが
どのような社会を作ろうとしているのか、それをどのようなワンフレー
ズで簡略化して誤魔化そうとしているのか掴むことができる重要な機会
です。防衛省・自衛隊は、安倍首相たちが存在しないと嘘をついた「議
事録」を漏えいしたとして、自衛隊内部では違法捜査を続けていたので
すから、捜査が適法だと主張するのであれば、速やかに「議事録」を国
民に開示すべきでしょう。

憲法という日本国の最高のルールを守らない安倍首相の下、行政文書の
改ざん・隠ぺい、厚生労働省のデータ改ざん、権力者に近い人物に対す
る利益誘導などの忖度の蔓延だけでなく、民間でも大企業である自動車
メーカーによる検査データの改ざんなど、ルールよりも自分の方が偉い、
ルールよりも不正に利益をあげることの方が大事という事件が続出して
います。

ルールを守らない社会で、常に被害を被るのは、私たち市民です。

憲法が活かされていない今だからこそ、これ以上、アンフェアで、おか
しな社会にならないように、憲法を活かした暮らしを実現する地道な取
り組みが重要だと思います。

弁護士 伊須慎一郎

 

 

できることからコツコツと

唐津焼の手びねり体験でお茶碗を作り、

「9条は世界の宝」と書き入れました。

毎日おなかいっぱい、ご飯が食べられる。

ありがたいことです。

(事務局 M)

9条俳句事件

三橋公民館だよりに俳句掲載を拒否された女性が、さいたま市を相手どり、俳句掲載と損害賠償を求めた事件です。最高裁判所は、2018年12月20日、当事者双方の上告を棄却し、さいたま市の俳句掲載拒否を違法とした東京高裁の判決が確定しました。

この最高裁の決定を受け、さいたま市は、次のような記者会見を行いました。
さいたま市として,
➀最高裁判決を真摯に受け止め謝罪する。
➁生涯学習充実の点,被害者の気持ちなどに配慮し,俳句掲載をする。
➂今後,住民に公民館だよりの編集権を開放するなどを一つの検討課題として社会教育に対してもしっかり取り組む。

原告の俳句掲載請求は、訴訟の中では認められませんでしたが、憲法、社会教育に携わる学者を含めた市民を巻き込んだ長い運動の末、ようやく、実現されることになりました。
また、➂公民館だよりの編集権を住民に開放する等、社会教育に対してもしっかり取り組むという点は、成果として画期的といえます。
この事件を契機に、地域における社会教育の充実が図られればと思います。
(弁護士 谷川生子)