「おことば」が意味するもの

2016年8月8日に「象徴としてのお務めについて」、天皇から国民へビデオメッセージが発せられた。

「おことば」と称する発言の中に、「象徴」が7回も使われている。

すでに年齢は80歳を越え、これまでのように全身全霊をもって象徴の役目を果たしていくことが難しくなる。天皇が象徴であると供に、国民統合の象徴としての役割を果たすため、明確な表現は避けつつも、生前退位の意向、意思が伝わってきた。

この「おことば」から読み取れる天皇の意思に対し、安倍首相や日本会議の「天皇を神格化し、神の力を持って再び国民を支配するため、憲法改正ではなく新憲法の制定」との目論見は真っ向から対立するものである。

国政に関する権能を持たない天皇が、言葉を慎重に選び、推敲を重ねたであろう「おことば」が、私には、この日本国憲法を改正し、最終的には明治憲法に回帰するような新憲法制定を最終目的とするような現政権、日本会議などを牽制し、痛烈に批判したものと感じられた。

おそらく新憲法制定など、現天皇が最も忌み嫌うところであろうし、その地位を国民支配のために政治利用されることは、決してあってはならないことなのである。

まだ命があるうちに、天皇は戦後の日本国憲法を遵守し、今後も国民の象徴として在るべきとの姿勢が、次世代以降にも脈々と受け継がれていく道をつくっておきたい、というのは考えすぎだろうか。

最後に、私は必ずしも天皇制に肯定的な考え方を持つわけではない。(事務局 長沢)

 

sirogiku

 

 

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