憲法Caffè

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埼玉総合法律事務所
13日

「逮捕の重み」

警察に逮捕された人の中には、被疑事実を争い続けて、最終的には不起訴となり、釈放される人も少なからずいます。
そして、そういった人の多くは、釈放後、裁判にかけられずに済みます。

それでも、逮捕された段階で被疑者として実名報道されることがあります。
今の日本社会おいては、逮捕されれば、その時点で犯罪者として扱われる、そうでなくても、よくない目で見られるような風潮があるように思います。

また、逮捕されれば少なくとも3日間身柄が拘束されます。
仕事をしている人は、結果として3日間無断欠勤となってしまう可能性があります。
3日無断欠勤すれば、やめてもらう、というような会社もあるでしょう。
しかもその理由が、「警察に逮捕された」というものであれば、なおさら、取引先や社会の目を気にして、やめてもらいたいと思う会社も多いでしょう。

3日間身柄を拘束される不利益はこのような労働関係にとどまりません。
今の日本社会では、その人が罪を犯してなくても、逮捕された段階で、社会的地位を失うなど多大な不利益を被る可能性が高く、逮捕されることに対するリスクはあまりにも高すぎます。
それにもかかわらず不起訴で釈放された後は、必ずしも身柄拘束されていことに対する補償があるとは限りません。
逮捕時に実名報道された被疑者が不起訴で釈放されたことが、必ずしも報道されるとは限りません。

逮捕状を請求する捜査機関も、逮捕状を出す裁判所も、事件を報道する報道機関も、もっとこのあたりを考えるべきだと思います。

(弁護士 鈴木満)