憲法Caffè

埼玉総合法律事務所の所員が、憲法に関わる催しや学習会のお知らせ、感想、考えていることなどを、随時アップします!

TEL.048-862-0355

〒330-0064 埼玉県さいたま市浦和区岸町7-12-1 東和ビル4階
埼玉総合法律事務所
01月

いのち 平和 憲法9条 2.3埼玉大集会のご案内

 来週2月3日(火)午後6時30分~、埼玉会館大ホールで、集団的自衛権を行使容認した閣議決定撤回を求めるオール埼玉総行動実行委員会主催、埼玉弁護士会後援、の企画が行われます。
小森陽一さん(東京大学大学院教授、九条の会事務局長)の講演と、北村姉妹の津軽三味線のアトラクションもあります。入場無料です。是非、ご参加を。
現在、通常国会が開会され、集団的自衛権(「戦争する国」づくりのため)の関連法案を提出、審議がされようとしています。「たかが一内閣の閣議決定ごときで」で憲法を変えて良いはずがないですね。今年もいろいろな企画に参加し、あるいは企画を作っていけたらいいなと思います。                                                          (事務局 山﨑)

2.3埼玉大集会(カラー)

2.3埼玉大集会   いのち平和憲法9条 2.3埼玉大集会(裏)

「私は桑田」(リレーメッセージ)

桑田佳祐さんの年末ライブやNHKなどでの行為が、ネットなどで「反日的である」「国家の尊厳を踏みにじる」などと騒ぎになり、今月11日には、東京都内の事務所前で抗議行動などが起き、桑田さんとその事務所が謝罪文(チョビ髭やライブで使用されたデモなどのニュース映像まで釈明したもの)を発表した、との報道に触れた。おそらく、事務所前の抗議行動に耐えられず、謝罪文の発表に追い込まれたものであろう。今後このような経験をした桑田さんは発言をひかえるようになってしまうだろう。このようにして、言論封殺社会が出来上がっていくのではないだろうか。表現の自由を大切に思う人が、「私は桑田」のスローガンの下、「抗議行動」に反対する大集会、大デモを組織するようになれば、日本社会の民主主義も人権意識も向上するのだろう。せめて、桑田さんのCDを買い、コンサートに行く努力をしたい。

ダウンロード

(弁護士 高木太郎)

平和な日本が続きますように(リレーメッセージ)

日本は今年、終戦後70年の節目の年を迎え、
国民の5人に4人は、戦争を知らない世代となりました。

昨年は、集団的自衛権行使容認、武器輸出「新三原則」の閣議決定や特定秘密保護法の施行などがなされ、新年早々、安倍首相は「新たな安全保障法制を整備していく」「憲法を変えていくのは自然な事だ」と述べました。
日本が戦前のように戦争ができる国に着々と変化しているように思えます。恐ろしいです。

戦後70年もの間、戦闘で1弾も発射せず、1人の戦死者も出さず、平和を守り続けてきた日本で、今年は、私達ひとりひとりが、更に「平和」について考え、関心をもっていかなければいけない年になると思います。

120536558832116115643

(事務局 山本)

憲法と人権を考える市民のつどい 「山田洋次監督と平和を考える」 ~憲法と平和を守る埼玉弁護士会の取り組み~(リレーメッセージ)

 12月4日、埼玉弁護士会主催で、「山田洋次監督と平和を考える」と題した市民集会が開かれました。昨年の12月に開催した「なぜ、今『国防軍』なのか」、今年4月9日開催の「なぜ、今『集団的自衛権』なのか」、今年7月31日開催の「集団的自衛権を認めるのか」に続くものです。

124_013

前回、前々回の集会では、会場から人があふれ、中に入ることすらできない方が多数出たため、今回は会場を大宮に移し、ソニックシティー大ホールという大きな会場で行いました。図らずも衆議院の解散総選挙が決まり、また当日は、あいにくの雨に見舞われ集客が心配でしたが、1200名を超す市民が集まりました。

市民のつどいは毎回、二部構成で行っていますが、今回は第1部に山田洋次監督、第2部に中央大学教授の植野妙実子さんにご講演頂きました。

山田監督の講演は、映画『母べえ』の上映から始まりました。この映画は黒澤明監督のスクリプターを務めた、野上照代さんの実話に基づいた作品です。慎ましくも幸せな生活を送っていた一家に、戦争の影が静かに押し寄せ、間もなく太平洋戦争が始まろうとする絶望的な時代を懸命に生きた人々の、愛に溢れたた笑い声や悲しい涙を写しとった映画です。「父親が治安維持法により、思想罪で特高警察に不当に逮捕、連行されてしまうシーン」、「投獄されてしまった父親に、残された家族が手紙を書くシーン」、「父親がいなくなった家庭の面倒を見てくれた青年にも赤紙が届き、別れを告げるシーン」が流れ、会場がぐっと静まりかえり、映画に引き込まれました。山田監督は、戦時体制下の検閲により映画の重要なシーンが英米的だとカットされた例等を挙げ、「戦争、戦時体制になれば、表現の自由、思想の自由が奪われる。それが戦争の怖さ。」と語りました。

母べぇ

また、監督は、「戦争時代銃後の少年少女であった体験を持っている僕たち世代は、僕たちの体験した戦争、銃後の戦争の体験を語り残さなければいけない。」とご自身が少年時代に過ごした満州での貴重な経験をお話し下さいました。そこでは、子供も大人も日本人皆が、当たり前のように中国人を差別し、中国人に対して威張り、見下していた現実があった。『自虐史観』とか言われるが、正しい歴史観を持つのがどうして自虐なのか、本当に伏して謝らないといけないと思った等と語りました。

また、監督にとっての『平和』を寅さんとタコ社長の関係になぞらえ、「二人はしょっちゅう喧嘩するけど、言っちゃいけないことをわきまえている、修復できることをわきまえて喧嘩をする。だから『出て行け』というと『それを言っちゃあおしまいよ』となる。国と国との関係もそう。いろいろトラブルがあって喧嘩するけど、懸命に話し合うことで努力できる。特に日本のように国際紛争を武力で解決しないというのを持っている国は、仲裁役をかうことができる国ではないか、そういうことで、世界中で尊敬を受ける国になり得るのではないかと思います。」と締めくくりました。20120211_2268230

植野先生の講演では、「憲法改正と集団的自衛権」をテーマに、様々な切り口から現在の政治の問題点を批判しました。議会制民主主義の話では、「衆議院の解散が突然行われ、総理の専権事項だ、とテレビで流された。総理の好きなときに憲法改正をして良いのだと思っている人もいるかもしれない。日本の議会制民主主義の弱点は、政治の暴走に歯止めをかけられないこと。日本ほど『政治主導でやりたい』というのが出来ている国はない。裁判も遠慮している。権力の規制ができない。」と問題点を指摘しました。また、「選挙で国民が審判を下すなら、我々はしっかり問題を見据えて、過去にやってきたことをしっかり踏まえて投票を。集団的自衛権の行使「これでいいんですか?」。政治に関わることができるのは選挙ぐらいしかない。この機会をしっかり活かし、皆の願いが政治に届くことを願っています。」と熱く語って下さいました。

124_011

人々の心には、人それぞれの平和への想いがあります。今回の集会では、参加者皆さんが自身にとっての平和とは何か、その平和を守っていくために自分は何ができるだろうか、と考える良い機会になったのではないでしょうか。私も、憲法9条の解釈改憲、秘密保護法の施行、…と、容易に戦争ができる国に向かっていってしまっている恐ろしさを改めて実感し、今後も埼玉弁護士会による市民のつどいやパレード、市民学習会での講師活動等に携わり、市民の声を大きくして政治に届けなくてはいけない、と決意を新たにしました。
(弁護士 南木ゆう)

写真は、市民集会で司会進行役の南木弁護士