時折,大好きな漫画家が新刊を出していないかネットでチェックをするのですが,そんな中でやっと1年ほど前に手にした本です。
モーさまこと萩尾望都。「ポーの一族」「トーマの心臓」の著者です。カリスマです。神様です。 そのモー様が,フクシマと原発について漫画を通してメッセージを発信なさっています。震災と原発事故発生当時,芸術家の多くは,何かしたい,何かできないか,何もできない,と自分の無力さにうちひしがれていましたが,音楽や小説,映画,写真,そして絵画や漫画,それぞれの道で,被災された方々のみならず支援したいと思っている私たちにも勇気を与えてくれています。
「なのはな」の主人公ナホちゃんの大好きなおばあちゃんは,津波にのまれた可能性が高く未だ帰ってきません。おばあちゃんはチェルノブイリ事故による子どもたちの被害に心を痛めており,チェルノブイリの子どもたちに手作りの人形を贈っていました。フクシマとチェルノブイリが重なります。
植物が大地と空気を清めてくれる。ひまわりや菜の花をうえる運動も広がりましたが,もし,それが大きな効果がでなくても,花は,植物は心を癒やしてくれます。元気づけてくれます。さいたまの小さな箱庭にも,なのはなやひまわりを植えましょう。これはフクシマの痛みを忘れないという意思表示であると共に,健全な生活を求めるアピールのつもりです(さいたまから世界へ黄色い花でメッセージを送らないかい?と言う提案です・・・)。
フクシマのナホちゃんの話の合間に,「美しく燃えさかる完璧で永遠のエネルギー」を擬人化した3本の短編も入っています。貧しければ奪い合い戦争が起こる。満たされれば平和。どちらにしても人間は死のリスクと隣り合わせ。 私たちは,原発0を叫びながら,原発の生み出す富を享受している。激しいジレンマです。
間もなく3月11日がまためぐってきます。
「世界が終わらないように,世界が次の世代に続くように,願っています。」 (萩尾望都さんのメッセージの結び) 事務局 松田